観劇記「TipTapオリジナルミュージカル『Play a Life』」

公演名:TipTapオリジナルミュージカル『Play a Life』

日時:2021.1.23(土) 15時公演

場所:ヒカリエホール (E列)

出演者:中井智彦 仙名彩世 黒沢ともよ

その他:作・演出 上田一豪  作曲 小澤時史

 

「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」以来の仙名彩世さんの舞台出演とのことで、

観てきました。演者3人にピアノ・チェロの少人数のミュージカル舞台。

 

①涙が止まらない

 お話は、同じ映画、ロビン・ウィリアムズの「今を生きる」が好きで結婚した、夫(中井智彦)と妻(仙名彩世)と教育実習生(黒沢ともよ)の登場人物が3人の舞台。

 夫は俳優を目指していて、妻は小学校の教師であったけど、今は妻は教師を辞めて夫が高校の非常勤講師をしている。その理由がわかったとき・・・

 仙名彩世さんが出演しているからと軽い気持ちで観に行ったけど凄く心が暖まる良い作品でした。舞台冒頭での夫と妻の会話が何故か噛み合ってないなぁって違和感があり、その理由がわかった瞬間から涙が止まりませんでした。もうそこからは終わるまでずっと涙が止まらなくて鼻水も出てくるしマスク必須の今で本当に良かった。。

 

②今を生きる理由

 今を生きる理由。これが今作品のテーマであり描かれている。亡くなった妻が世界から消えないために夢を諦め、高校の非常勤講師となった夫。妻の教え子であり、妻のような教師を目指す教育実習生。2人が生きる理由を再認識したときの救済と動き出す時間。

 このテーマが本当に今のこの状況と相まってものすごく考えさせられました。生きる理由といのちの価値。今の自分の何もない情けない人生に自分の生きる理由って何なんだろうっていうのと、個人的に小学校の時にとても好きだった先生が急に亡くなってしまった、今作と同じような経験をしていたので、とても感情移入してしまい観劇中に嗚咽が出そうなのを堪えながら大泣きしてしまいました。

 

③少人数舞台の良さ

 今までは出演者が多い舞台しか観たことなかったので、今回の少人数の舞台はとても新鮮でした。出演者一人一人の出てくる時間が自然と長くなるので、感情移入がしやすくとても良かったです。楽器もピアノとチェロだけだけど大満足でした。生演奏はやっぱりいいですね。

 出演者の3名も本当に素晴らしかったです。仙名彩世さんは歌が本当に綺麗で、亡くなっている世界で生きている妻の演技が切なくて感動しました。笑顔も凄い好きです。

 夫役の中村さんも声量が素晴らしく聴いてて胸に響きました。泣いているシーンでの演技が本当に真に迫るもので圧巻でした。

 教育実習生役の黒沢さんも歌が上手く、切ない物語の中において前へ進んでいく希望のような演技がとても良かったです。世界史の授業でのミュージカルナンバーは最高でした。

 

④まとめ

 テーマだけを見ると重い作品の印象がありますが、観終わったあとは切なさと愛おしさで溢れてました。そして、とにかく泣きました。悲しいからではなく切なく愛おしいから。コンパクトだけどとても素晴らしい作品で、『Play a Life』が今までに何回も再演されてきたのは、このテーマが観る人の心に深く刺さるからだと思いました。